米雇用統計歴史的悪化なのにダウが続伸した理由について個人的に考察してみる。
日本時間で5/8の夜にアメリカの4月雇用統計が発表され、失業率が14.7%と大恐慌以来の水準となり、新型コロナウイルスによる就労環境の悪化が鮮明になった。
これだけ悪い数値が出たら当然株価は・・・と思ったけど、発表後のダウ平均は455ドル上げて、24331ドルで終了しました。
初見の個人的な感想。
これで上がるとか、とうとう感覚がマヒってしまったのか??(笑)
そう思う方が多いのも無理はない。ではなんでこんなに上がったのか?
中国との対立警戒緩和もあるけど、雇用統計だってとんでもない歴史的悪材料だ、織込済なんて説明がつくとも思えない。なので疑問に思ったので自分なりに調べてみた。
失業者数 と一言にいっても、日本にはあまりなじみがないが海外には『レイオフ』がある。
景気悪化時に、労働者を一時的に解雇したり帰休させたりさせ、企業自体は固定費を削ることができるんで存続しやすくなる。恒久的な失職ではなく、景気回復時には失業者が早期に元の職場に復帰できる可能性がある一時解雇ってこと。まぁ整理解雇の一時的verってのが日本的には近いだろうか。
わりとアメリカでは景気悪化すると多発する手段。まぁ終身雇用の影が未だに残る日本では受け入れられづらい制度だとは思うが。
では次に14.7%の内訳から。
さて、アメリカで3月には失業者数は2月の710万人から2300万人へと一気に増えたらしい。ただ、失業者のうち「恒久的な解雇」は11%にすぎず、78%は「一時的な解雇」だった。
08~09年リーマンショック時は、逆に「一時解雇」が10%前後にすぎず、50%前後が「恒久解雇」と圧倒的に多数だったらしい。
この違い、要は失業率は高い水準には違いないが、レイオフの原因である経済活動自粛が再開されれば、雇用も戻る可能性があるってことを意味すると思う。
まぁ上記の統計数字、日経とエコノミストの資料から取ってきたものだけど、合計が100%になっていない。『理由不明の休職者』を統計から除外して取っているそうなので実際はもう少し悪いかもしれない。
それでも長期化すればするほど一時解雇が減って恒久解雇が増加するってビジョンは間違いないし、いずれにせよ1日も早い収束が望ましい。
他にも要因はあるだろうけど、もしこれを前向きに取って、経済に対してそこまでの悪材料になっていないという見方をする人が多いのであれば、ちょっと感覚が甘く、狂ってきているのではないかなと言わざるを得ないと考えます。
明日の日本市場が不安である(笑)